昨年あたりから体調を崩している同級生がいる。
彼とは小学校は違ったが、中学校では同じ野
球部に所属し毎日の「シゴキ」に耐えた仲間
だ。野球部には15人以上が入部し、3年生の
県大会が終わる夏までは地獄だった。
練習中水を飲んではいけない、歯を出してはい
けない(口を開けるなと言う事)、グランドに
いち早く出てトンボで整備、練習後は先輩のス
パイク磨きと同時に一番「辛い」事が待ってい
る。
「辛い」事とは「シゴキだ」。先輩からの顔面
びんた、腹にパンチ、スパイクを履いたまま正
座(スパイクの歯が尻に食いこみ痛い、たまに
脚の間にバットを入れられる。肩を上から押さ
れるので尚更痛い)、空気椅子(壁に背中を付け
椅子に座る姿勢。辛くて膝が笑う)、ケツバット
(お尻を突き出しバットで殴られる)、バットの
グリップエンドを頭に落とす、柔軟体操で先輩が
数人で背中に乗る(息しくて息ができない)。
このような事が連日続く。連帯責任だという。
いわゆる暴力と、精神を鍛えるという事だ。
誰かひとりミスをすると「連帯責任」で、指導係
が練習後「お説教!!」と大きな声で叫ぶ。
それを聞くとまたか!!と思い部室へ一目散。
薄暗い部室で前述のような事の始まりだ。
夏を越す前に半数近くが退部する。
辛いからだ。13歳の少年には過酷すぎる「体
罰」だった。
気の弱い同級生は7,8人退部した。
それを一緒に耐え翌年の秋の新人戦では川越市で
優勝した。そんな彼とは卒業後は殆ど交流がなか
ったが、社会人になり社会人野球では相当鳴らし、
後楽園球場でも捕手として大活躍をしたと噂に聞
いていた。やはり彼らしいなと思ったものだ。
40代半ばに同窓会があり、そこからまた交流が
始まった。お酒を飲むと野球談議が始まる。
辛かったことを笑いながら話すのが楽しかった。
同窓会では実行委員長を長く務めていて、同級生の
まとめ役だ。常に彼の周りには人が集まり、大きな
声で周囲を笑わせる。
そんな彼には病で臥せっている姿などありえない。
1年半ぶりに顔を見たが幾分元気がなさそうだった。
体重はやや落ちたと奥さんから聞いたが、声には張
りがあり気丈なところは変わらなかった。
握手を2回したが大きな手で握り返してくれた。
一日も早く同窓会の実行委員長を務めてもらいたい。
現在仮りの委員長を立てている。
病に負けるな!!シゴキに耐えた精神力で!!
彼は【兜を脱ぐ】ことをしないだろう。
「地域社会への貢献と共生」
総合ビル管理・清掃・遺品整理
株式会社ワイエス 取締役会長 芳山 豊